「木を活かし森を護る」
林業とは、木を育てて伐って売ることで利益を得る経済的な活動です。同時に、近年では水源の保全や土砂災害防止、生物多様性維持など森林のもつ公益的機能を保全するための仕事としてとらえられることが多くなってきました。
私たち天竜フォレスターは「今ある木材資源を活用する」ことだけではなく、「未来に残る経済的・社会的価値の高い森林」をまもり、育てていきます。それが「木を活かし森を護る」ということです。
「私たちの仕事」を知ってもらうために、座談会を開催しました。
■2022年6月6日(月)座談会
座談会メンバー紹介
森林生産グループ 奥山、渡辺、宮嶋、鶴賀、竹内
森林経営グループ 水野、横山(ファシリテーター)
① 天竜フォレスターの「強み」「技術力」とは?
(宮嶋)計画性やコミュニケーションの高さが弊社の強みではないか。具体的に言うと、技術者一人一人が生産量を把握して、目標を作り、チーム一丸となって進めることができている。作業の段取りも作業者自身が考えることができる。
―――――弊社ではこの3年間、チーム単位で計画して実績を振り返り、改善を進める仕組みを集中的に取り組んできた。その効果が最近現れ始めている。
(渡辺)僕が以前勤めていた会社だと、作業のやり方は班長が決めていて、自分が意見を言っても通らなかった。今は意見を出すと上司や先輩も聞いてくれるし、新しいやり方にチャレンジしやすいと感じる。過去にとらわれないというか、チャレンジできる会社の風土があると思う。
(竹内)現場の技術力でいうと、長期間にわたって使える作業道が他社より優れていると感じる。作業完了後、路面に横断する溝をつくり、こまめに排水することで雨水の集中を避けたり、路面に枝葉を敷くことで、道が雨水で壊れることを防いでいる。山の地形に合わせた路線設計と管理ができている。山林につくる作業道は作りっぱなしだと土砂が河川や公道に流出してしまうこともあるが、天竜フォレスターのようにきちんと管理された道は次の10年後の作業でもまた使える。先輩が昔作った道の現場に自分が入ってまたその道を使うことを経験し、すごいと思った。
(渡辺)うちは若い人が多い。同業他社に比べて多いと思う。
―――――弊社の平均年齢は33歳。従業員14名中11名が20~30代(2022年6月現在)
(鶴賀)去年入社した社員に聞いた話だけど、彼は就活で他社もいろいろ見学してきたそうだ。うちにインターンシップに来た時に若い人が多いと感じた。それから「仕事をやろう、がんばろう」という感じがひしひしと伝わってきたそうだ。ただ若いだけじゃなく、やる気のある若い人が多いというのが大事。若い自分たちが働くなら、同世代のやる気のある人たちと働きたいと思うのではないか。
(宮嶋)正直自分らで計画して自分らで進めている楽しさが、そのモチベーションにつながっているのでは。ただ与えられた仕事を何のためにやるのか理解せずやる消耗的な作業ではない。モチベーションを保ちやすい環境だと思う。
―――――働きやすさについて
(奥山)自分は中途入社したが、家族がいるので、福利厚生が整っていること、日給制の会社も多いが、自分は嫌だったので、月給制であったのも決め手になった。去年から週休二日制で、土日休みになったので、さらに良くなったと感じる。
―――――育児休暇制度ができてから、取得率は100%というのも自慢できる。
(宮嶋)子供がいても収入面で家計がやっていけるかという点も重要。その点うちの会社は子供3人の家庭も多い。子供がいる家庭はマイホームも建てる人が多い。それだけ収入が安定しているということ。
―――――家賃補助や住宅ローン補助もありますしね。事務所は天竜区にあるが、浜北区に住んでいる人が多い。生活に車は必需品だが、商業施設も近くにたくさんあり、生活面で困ることは少ないと思う。
②「品質」で気を付けていることは?
(水野)例えば間伐(木を間引く作業)の現場で、仕上がりはだれがやっても均一になっていると思う。
(宮嶋)先に伐る木を決めているからだと思う。一般的には木を伐る現場の人がどの木を伐るか決めている会社が多いので伐る人によって仕上がりにムラが出てしまう。うちはプランナーが設計してどの木を間引くかを先に決めているから。
―――――プランナーとは「森林施業プランナー」と呼ばれる資格を有した人。弊社には3人所属。地域の森林経営計画を作成し、山毎に保育や伐採の事業収支を計算し、森林所有者へ提案をします。所有者への営業や、現場管理等も行います。
(鶴賀)あとうちの採材はすごく細かい。天竜のスギ、ヒノキは先人たちが植えて手をかけてきた価値の高い木が多く残っている。この木をなるべく付加価値をつけるために、またたくさん山主さんに利益を還元できるようにと採材の重要さを認識して作業している。それが私たちの品質でもあり、技術力でもあると思う。
―――――採材とは1本の木をいかに料理するか?木の価値を左右する重要な作業。伐採した後、用途に合わせて3m、4mないし6mの長さで丸太を刻む。曲がりや腐り等の欠点を抜くことも大事で、採材の習得は一朝一夕にはできない。
(渡辺)FSC®―COC認証を取得していることはどうですか。以前勤めていた会社や周りの同業他社では認証を取得しているところは少なかった。
―――――FSC認証とは、違法伐採を排除するための国際的な認証制度。弊社は2021年に単独取得しました(FSC-C166925 SA-COC-010188)。製材をもたない林業だけの会社でCOC認証を取得している会社はめずらしいそうです。COC認証を取得すると何がいいんでしょうか?
(水野)木材の流れが明確になることですかね。いわゆるトレーサビリティ。木材が高く売れるようになるわけではないが、適切に管理された木材であることを証明できる。
(鶴賀)スーパーの野菜を選ぶときに、袋に生産者の顔が見えると何となく安心するのと同じですね。
(水野)買い手である製材や住宅メーカー、さらにはエンドユーザーからすると、どこから伐ってきた木材かわからないより、天竜のどこの山で、どこの会社が伐った木かを分かったほうが安心するよね。最近は認証木材の方が非認証木材より引き合いが強いときいている。東京オリンピックでも認証材が求められ、使用されたわけだし、時代の流れということでしょうか。
(宮嶋)現在テンコモリ(天竜のこれからの森を考える会)という団体で定期的に林業の説明を小学校向けに行っている。その際、「FSC認証というのは、違法伐採ではないという証明です。ちゃんと管理された山から伐っている。FSCマークの付いた認証木材や認証パルプの製品を選んでもらうことで、環境問題に貢献している」という話をさせてもらっている。
(渡辺)山土場(山で丸太を貯めておく場所)の周りの立木に傷が付かないよう、保護資材を巻いて立木を保護している。これも他社はやっていないことも多いと思う。
―――――立木に傷がつくと腐りが入り、将来的な木の価値を下げてしまう。保護しないと、山土場で丸太を集積する際、うっかりぶつけて樹皮をむいてしまうことがある。
(水野)そういえば他業界の会社の人が見学に来た際、なんで巻いているのか聞かれた。一般の人からすると違いが分からないですよね。
(宮嶋)キズがついても気にしない会社が多いのではないか。でも木は個人の財産だから、キズを付けないように注意するのは、うちの会社では当たり前のことと認識している。
③「提案」や「営業」で気を付けていることは?
(宮嶋)航空測量やSDGs等、新しいことに挑戦できるフットワークの軽さが素晴らしいと思う。
(鶴賀)大学の授業をやったり、林業伐採体験をしてもらっていることも林業の裾野を広げる意味で大事なことをうちはやっていると思う。静岡大学との共同インターンシップもやっているし。
(水野)あと実際のところは分からないが、先に山の見積を明確に出す会社は少ないのではないか。一般の人からすると見積もりを出してから仕事をするのは当たり前のことだと思うが、これをしていない会社が結構あるらしい。
―――――商品やサービスを購入するとき、値段がわからないと怖くて頼めないよね。
(宮嶋)先に伐る木を決めている会社は少ないと思う。調査の手間もかかるし。調査も標準値調査が基本なので、伐る木を全数あたっておらず、明確な見積は出せないはず。その点天竜フォレスターは全ての伐採木を調査しているので、精度の高い見積を作成することができている。
あとは地域に限定されることがないのは民間企業の強み。最近は天竜区だけではなく、浜松市近隣の市町の仕事も増えてきた。
(鶴賀)やっぱり仕事がないと食っていけない。32年間会社が存続できているのはすごい。お客さんとのとながりを大事にしているからこそだと思う。
―――――お客さんと話すときに気を付けていることは?
(水野)専門用語を使うと理解してもらえないのでわかりやすい平易な言葉を使うように気を付けている。「間伐」だと「抜き切り」と言い換えてみたり。
商談で迷っているお客さまには、うちの完成現場の写真を見せることで、言葉だけより理解してもらえる。作業道といってもどんな道か理解してもらえないけど、写真見せればどんな道かわかってもらえる。ほんとうは現場をみてもらったほうがいいんだけど、実際見に来られる山主さんは多くない。
(鶴賀)あとは山主さんからしたら、今間伐しなくてもいいんじゃないと言われないですか?
(横山)いろんな人がいる。やってほしい人もいれば、なんで今間伐しなきゃいけないのって人もいる。こちらからやりませんかと提案した人はなんで?という人も当然いるし、森林組合に頼んでいるから断られることもある。
(宮嶋)森林組合のある地域の山主は組合員である人がほとんどだと思う。だけど、すべての森林組合がちゃんと山主と向き合っているのかは疑問。山主であるお客さまとちゃんと向き合って、わかりやすく説明をしていることはうちがアピールできると思う。
多分天竜フォレスターは一人一人のお客様を大事にしないと仕事がもらえなかったんじゃないか。
―――――そろそろまとめましょうか。弊社がいちばんアピールできることはなんでしょうか?
(鶴賀)確かな技術と若いパワー
(水野)山主的にも若い人が多ければこの先長く任せられると思ってもらえるのでは?
(渡辺)コミュニケーション能力。みんな仲がいいこと。
(宮嶋)チーム一丸で目標に向かい、考えながら計画的にできている。
(鶴賀)仲良くて和気あいあいできているから話しやすい。
(渡辺)仲良しこよしとチーム一丸は違うのでは?!
(全員)そうだね。
(竹内)やっぱりチーム力ですかね。
―――――まとめると「私たち天竜フォレスター」は、若い人がやる気をもってやっている。プランナーと現場がよく話し合って計画的に事業を実行している、チーム力の高い会社だということでしょうか。
(鶴賀)うちはプランニングができる人(森林経営グループのメンバー)がいて、技術を持った作業員(森林生産グループのメンバー)がいる。2つのグループは縦割りではなく、同じ会社内でタッグを組んで行動している。一気通貫して設計から施工までできていることが弊社の強みだと思う。
―――――経営グループの「提案力」と生産グループの「技術力」があわさって、「高い品質」を生み出している。ということですね。
天竜フォレスターは32年間、天竜地域の林業の一端を担ってきました。これからも地域の森林をまもり、育てていくために、これまで培ってきた「技術力」「品質」「提案力」をさらに発展させ、弊社の経営理念「林業を未来につなぎ、人の未来をつなぐ」の実現を目指します。